2012年01月

2012年01月31日

保険

今日、残念なお知らせが。

更新しようと、今年から始まったオンライン申請で進むうちに気になる設問が。
それを問い合わせた。

>お世話になります。
>○○○保険についてお伺いします。

>(以下抜粋)
>●会則による制限

>保険制度の維持・継続の観点より、 下記の項目に該当する方は、24年度の「会員特典保険」及び「追加保険」の対象となりませんのでご注意ください。
>(中略)
>運動能力/自転車の運転に支障を及ぼす身体障害がある方
>(抜粋終わり)

>とありますが、私はハンドバイクに乗っていますが、この場合は自車をコントロールできるということで「会員特典保険」の対象となるということでよろしいでしょうか?

>以上、お願いします。


と、送信したところ、


>大変申し訳ございませんが、○○○の賛助会員に特典で付く自転車総合保険の対象は、今のところニ輪の自転車に限定させていただいております。


との回答が。 Σ(゚口゚;)がーん!


障がい者手帳を持っていることが引っ掛かるのかと思ったが、なんと、3輪ということが境界線なのか。
正直、その理屈は理解不能。



今まで何も気にせず加入して、安心していたのはなんだったのか。

最悪、自分の保証なんて無くても良い。
ただ、ただ、もしもの事故の時に相手を保証してほしいだけなのに・・・。

あぁ、3輪でも入れる保険あるのか?
(だれかご紹介ください^^)



ホント今まで事故が無くて良かった。
これからは

「近寄るな、キケン」

とノボリでも立てようか。


これぞマイノリティの醍醐味だぁ。
気づかせてくださり、ありがとうございました。
これでまた3輪に対する理解を広めたい、という意識が高くなりました。




なんて、うー、めんどくさ。

tetchin01 at 20:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0)Hand Bike 

2012年01月30日

回る回るよWheel Spinner

先日、FBでお見かけした動画。


専売特許!?のタイヤが足である当方には、こんな遊び心はとても重要!
でも、定点で見ないとこの効果は得られないのかと・・・。

そもそもデザインの脳味噌はカケラも無いので作るのは無理。
じゃあってことでさらに探ると、

こちらは車のホイールでたまに見るものと同じデザインと仕掛け。


(おっとこちらのものの見所は後半で)



こちらは後付けでもイイネ!
外側にあるから指をぶつけそうで痛そうだけど、デザインと遊び心がそれを上回る。
(動画が無かったのでちょこっと拝借)
spinners
Beyond Independence

こちらは反射材。


で、これなら自分で作れそう!なもの。



むむむ、こんな回転のアニメーションをシミュレートできないものだろうか?

堅め

このパチ、パチ、というのがクセになりそうだ。
けど、エレベータとかでちびっ子にいじられそうで怖い。

ハンドバイクでの乗り心地は!?



折り畳みの車いすでも強度が保てそうでイイネ!




ふむふむ。こんなのもあるのか


tetchin01 at 20:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)日記 

2012年01月24日

グリップ、クリップ



手に麻痺がある方用のハンドバイクのグリップ各種。
リンクつき。(コピーはできないけど)

これだけの切磋琢磨があるということは、その数の分だけ魅力がハンドバイクにあるということ。

選択肢があるということは、その数の分だけ自由があるということ。なんてね。

2012年01月22日

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 5

5  >おわりに<

元々この考えにたどり着いたのは、諸外国ではフル電動での取付型ハンドバイクが存在しているが、日本国内においては同種の装置が製造されてはいるものの、法律により公道での使用ができず、その解決方法を探っていた。

その行く手を阻む法律を理解し、ママチャリに代表される自転車の悪く言われてしまう点を整理すると、車いすによる弱点と不満に思うことが重なり合うことに気がついた。

ならばと逆手に取り、歩道を通行する方法についての提案をまとめた。すると、現在は空白部分となっている取付型ハンドバイクに関する規則もつながり、この二つをどう利用しやすくできるかを考え、提案した。あとはその活用を促したい。

平成23年10月に発表された警察庁の通達に始まる自転車を巡る話題により、車道の使い方の検討がはじまり、ちょうど私自身が海外で体験してきたバイクレーンが日本でも現実のものとなるのかと期待を寄せるところではあるが、日本においてはそこからなぜか専用道へと一足飛びに考えが移ってしまうのが不思議でたまらない。

歩道にしろ車道にしろ道路を活用するためにルールや経験を積むことは有益なことであり、道路を積極的に利用する方法として、歩行補助としてのハンドバイクがあれば、幼少もしくは高齢であったり、受症してからすぐの治療ではなく社会的応力を積むためのリハビリとしても身近に利用ができる。

釣りの世界でいう”ふなに始まりふなに終わる”である。

さらに固定型ハンドバイクの存在により、活気のあるリクリエーションや勝負の世界でのレースとして上位の使い方を目指すきっかけにもなり、健常者も含めレースの世界を活発にすることもできよう。

クランクを回し、その運動を利用することは人間だけの特権であり、それを存分に利用しようとするのはごく自然な欲求といえる。



ここまで考え方をまとめる事ができたのも、自転車を中心として出会った様々な人たちと出会えたからである。今までもそしてこれからも感謝の気持ちで一杯である。

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 4

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 4



4  >取付型ハンドバイクの今後の課題<

これまでの内容により、ハンドバイクを単に自転車の扱いとして限定的な使用法に規定するのではなく、あくまで手の力を推進力に変換して歩行の補助として利用できることを述べてきた。

では、歩行補助として利用する場合の今後の展開をあげると以下となる。



「歩行補助車のインフラ」

このように取付型ハンドバイクを歩行補助車として含めることができると、現在ある歩行補助車の別名ハンドル型電動車いすとして整備されている施設を利用でき、鉄道各社が用意しているハンドル型電動車いすの対応状況をそのまま流用することができ、今後もそのバリアフリーの取り組みを利用者側からも後押しすることができる。

ただし、現行の歩行補助車の規定では全長が120cmとなっているため、取付型ハンドバイクのタイヤの基準を12インチとすると、全長で10〜15cmはみ出すようになる可能性がある。
それであっても多くのエレベータは余剰範囲があり、12インチタイヤであっても直線的に乗り込めることはサンプルが少なくても実証できたので、今後この歩行補助車としての扱いが実現できる時には法規を変更してもらえると嬉しい。



「取付型ハンドバイクの活用」

また、取付型ハンドバイクが自転車や歩行補助車として広く一般的になった場合に、どのような問題が起こりえるかを予想する。

○駐輪(車)
現在整備されている駐輪場は”健常者”が”普通自転車”を利用することを想定して設計されている施設がほとんどで、地下や上階に施設があり、階段のため歩行困難者では利用ができない場合や、前後輪の構造でラックに入らないと利用できない場合がある。

これは取付型ハンドバイクに限った設定ではないが、駐輪場に3輪の場所を設けられるようにすることや、乗用車でも駐車禁止除外の規定があるように、ハンドバイクや3輪自転車でも同様に駐車禁止を除外できる仕組みがあると利用しやすくなる。

○通行方法
今後歩道上の自転車通行が一方通行化されることが見込まれており、その場合、ハンドバイクはどのように振る舞うべきか。
矛盾した意見となるが、すべてのハンドバイクは自転車と同じルールで通行する方法が一つある。
もう一つは、自転車としてのハンドバイクは一方通行とされ、歩行者としてのハンドバイクは制限されず、通行帯も歩行者と同じとなる方法も考えられるが、幅員により曖昧となってしまう可能性がある。

○盗難
フレーム番号、製造番号によるシリアルナンバーにより、自転車と同じ防犯登録。
形状、利用方法が一般化するまでは理解されにくく、玩具のような認識をされてしまうことも考えられる。



以上懸案事項をあげたが、固定型にしろ取付型にしろ、今まで交通手段として無かったハンドバイクが移動手段として認知されてくると、普通自転車だけ、手動車いすだけで街を考えるとその枠に当てはまらなくなる。

車道に繰り出し、一見邪魔な存在になると考える向きもあるが、それであっても道路をどう共有するか、また、お互いに注意し合うことによって必然的に事故を防ぐことができるのであれば、それは邪魔な存在なのではなく、逆に、安全のためのペースメーカ的存在になりうる。

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 3

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 3

3  >自転車として、歩行者として<



「自転車としての取付型ハンドバイク」

あらためて、取付型ハンドバイクはどこに区分されるか。
前述の通りクランクを使っているため車両(自転車)に区分されるようで、車いすを使っているため歩行者にも含まれるようにも見ることができる。

次にそもそも福祉機器とは何かについて考えたい。
福祉機器とは、健常者の暮らす社会において健常者と同様の生活を送るために、身体に支障がある部分を補助し快適さを得るための器具ということができる。健常者の運動機能を補助することに注目すると、その運動機能を置き換えるためにレバー、車輪、変速機、原動機などを使う。

そこで取付型ハンドバイクは福祉機器としてどのような運動機能を置き換えているかをみると、もちろんその名前の表すところの自転車としての役割の置き換えである。これはレース、リクリエーションで活躍しているので容易にわかる。

では、手動と原動機(電動・エンジン)を歩行者から車両への移動距離による順に並べてみると、
  手動(車いす)
    →電動(車いす)
      →電動(歩行補助車)
        →手動(取付型ハンドバイク)
          →電動(電動アシスト型ハンドバイク)
            →電動(乗用車)
              →エンジン(乗用車)
という並び方が考えられる。
このことにより、取付型ハンドバイクであっても自転車として扱うことに妥当性があるとみることができる。

歩道と車道



「歩行者としての取付型ハンドバイク」

今度は意見を反転して、取付型ハンドバイクは歩行者側であると主張する。

前節でも記した通り、福祉機器は運動機能の置き換えである。
また、冒頭(前号)で触れた通り、手動車いすでの移動はまだまだ不満が残り、移動手段として健常者の歩行と快適さの差が大きいように感じられる。その差を電動車いすにより解決するよりも、手動である取付型ハンドバイクにより解決できないのかとの思いが湧く。

歩道通行を前提とした使い方であれば、取付型ハンドバイクを乗る者は障がい者手帳を保有している者の方がほとんどで、取付型ハンドバイクも自転車として扱うのであれば道交法により歩道を通行することができる。

だが、歩道通行を性能面から見ると、普通自転車と同様に徐行運転が求められるものの、現行の取付型ハンドバイクは自転車としての機能を有しており、それなりに速度も出るような作りになっている。交通教育などがある上で自制心を強くもたないと、現在ママチャリが持つ逆走暴走などの問題を簡単に引き起こしてしまう問題点もある。

また、歩道の設計の面から見ると、歩道には設計上持つ構造の特徴である「波打ち歩道」と呼ばれることに起因する、スロープや横勾配が幾多にもあり、また道路構造令上、設計を命ぜられている植栽の根の成長などによ隆起の段差が至る所に存在する。この道を3輪でもある取付型ハンドバイクが通ることには転倒の危険が大きく、それも速度が上がるほどに危険の度合いも上がる。

ならば、歩道上は遅い方が安全であると言うことができる。

また一方、普通自転車であるところのママチャリが数多く歩道を通行しているが、各所において「ママチャリは歩道上を遅く走るために産まれた日本独自の規格である」とよくいわれる。
最近では6段以上の変速機がついている機種や、電動アシストの基準が上がったことも記憶に新しい。本来、徐行が求められ鵜歩道上でなぜ速さを求めて進化しようとしているのかは不思議と言える。

ここまで取り上げてきたことを並べると、
○福祉機器は健常な身体機能の置き換え
○既存の取付型ハンドバイクは速度が出てしまう
○反面、取付型ハンドバイクの歩道通行は速度を上げて通行すると危ない
○ママチャリは遅く走るための車両として産まれた
となる。

これらの事項をまとめ、一考すると「速度の遅い取付型ハンドバイク」ならば歩道上を移動する道具として成り立つのではないか、との考えに落ち着く。

「遅い取付型ハンドバイクとは」、電動との比較で人力であり、歩行者の区分に入るため歩行補助車であると考えられる。
すなわち、手動歩行補助車ということができる。

そこで今度は、仮に「遅い取付型ハンドバイク(手動歩行補助車)」がある場合、交通のどの部分の置き換えとなるのかを見てみる。


再び前段の、手動と原動機(電動・エンジン)を並べたものみると、
  手動(車いす)       …1
    →電動(車いす)    …2
      →電動(歩行補助車)…3
手動の方が電動より貝であるとするならば、1と2の間に手動歩行補助車を設けることができるのではないかと考えることができる。

その結果、下記のようになる。
  手動(車いす)         …1
    →手動(歩行補助車)    …2
      →電動(車いす)    …3
        →電動(歩行補助車)…4
上記を言葉により表現すると、歩行補助車及び車いすは歩行の置き換えをし、手動は電動の置き換えをしているといえる。

そこで、電動車いす及び歩行補助車の条文をみると、
歩行補助車 道路交通法 第2条第1項第9号
道路交通法施行令 第1条
道路交通法施行規則 第1条 及び 第1条の4

【参考】
公益財団法人 日本交通管理技術協会 型式認定の基準
http://www.tmt.or.jp/examination/index2.html

電動車いす安全普及協会 電動車いすの規格
http://www.den-ankyo.org/society/standard.html

とあり、歩道を通行することに具体的な制約を設けていることがわかる。

上記の規格になぞり歩行補助車としての以下の構造としての要件を列挙すると下記となる。
○速度が出ないような構造
○改造しにくいような構造
○突起物が出ない構造


そこで、新たに区分を設ける。
この区分を設ける目的は、一定の基準を作ることにより取付型ハンドバイクとしては自転車と同種の構造のものであっても、利用する場面を自転車と歩行者とに区分する仕組みにすることである。

名称は「車いす補助車」とする。以下、具体的な要件を並べる。



「自転車としての取付型ハンドバイクの区分」

使用者が自転車と同様に速度を出すことを目的に、既存の取付型ハンドバイクについては”車いす補助車”となり、普通自転車と同じに、構造、保安部品、通行方法、違反など法規を遵守しなければならなく、さらに次の条件を満たさなければならなくなる。

○ブレーキの二重化
これは普通自転車が保安部品として道路運送車両法により、前後のブレーキを求められていることに沿って、故障等の補助機能として、たとえ1輪であっても2系統のブレーキを備えることを明確化する。

○ヘルメットの着用
現行の普通自転車でも小児に関してはヘルメットの着用を課しているように、車いす使用者も転倒の危険は大きいため、ヘルメットの着用は最大の予防となる。
そして、普通自転車より先に立ちヘルメット着用をしていることにより、模範的な存在となり、社会貢献も果たすことができる。

○車道走行
速度を上げて通行する以上、自転車と同様に車道通行を求める。
ただし、これは結果的に段差などでの転倒を防ぐ効果化があり、結果的に事故の予防となる。

また、道路交通法により身体障がい者が使用する場合は歩道を通行することも認められるが、あくまでも自転車としての扱いであることは変わらない。

しかし、以下に挙げる要件により歩行者としての取付型ハンドバイクの区分を設ける。




「歩行者としての取付型ハンドバイクの区分」

上記自転車としての区分の例外として、歩行者としての取付型ハンドバイクの区分を設定する。

まずは、構造上の区分。
一定の基準を備えた装置は既存の「歩行補助車」と同列とし、歩行者に属するようにする。
この一定の基準とは、速度の制限、構造の制限を設ける。


○ブレーキの二重化
上記、自転車としてのハンドバイクと同様に故障等の補助機能とする。


○速度の制限
電動車いすの基準を元にして、6km/hを基準として上限を9km/hまでとする。

これは、動力が人力であることと、低速の範囲であるため、この程度の誤差範囲を見込む必要があると考えられる。
この速度も個人差が大きいため、モーターとは違い、回し方によって速度に違いが出てしまうため、その余剰分を設ける。

また私見ではあるが、両手をそろえて回す格好が多い取付型ハンドバイクとしては、呼吸と腕の回転数(ケイデンス)をあわせるのが一番効率がいいと考えられ、速度の基準としては回転数を平均的な心拍数として65rpmにあわせ、その回転数の中で制限速度までになるような構造を設計し、それを諸元とするように制作側へ責任を課す。


○構造上の制限。
タイヤは12インチ以下とする。

これは、電動車いすの基準を参考にすると、見た目で歩行補助車であるとわかることが必要だと考えられ、一方、部品の購入やパンク修理などのメンテナンスが行いやすく、幼児車などで一般に出回っているものの中で最小のものとするために12インチとする。
もちろん12インチ以下であれば独自のサイズでかまわないので、既存の福祉車両用タイヤを付けられ、そのことにより国内製造業者も参入しやすくなる。


○反射器材の取付
自転車と同様、後部には後方から確認できる位置に反射器材を取り付ける。また、色に関しては公安細則の自転車に関する基準に準ずる。
前部にも前方から確認できる位置に反射器材を取り付けることとし、色を白とする。


○駆動方式の制限
駆動伝達はチェーン駆動以外とする。

これは、現法の歩行補助車の規定にある「改造しにくい構造」の基準に沿うようにするためであり、チェーン駆動では変速に関しての改造部品が多く出回っていることがあり、既存の方法であればベルトドライブであれば一般的に交換部品は少なく改造は施しにくくなる。
ほかにも今後の発展としてシャフトドライブという方法も考えられ、これもベルトと同様に交換しにくい構造になるものと考えられる。

また、チェーンを使用しないことにより汚れが移ることを防ぐことができるため、電車などの公共交通機関での移動、居住空間への移動も行え、生活に寄り添った使い方をすることができる。

また、折りたたみの機構があれば、ベルトを取り外し単に前輪としてだけの構造に変更したり、車への積み込みなど、より多様な使い方をすることができる。

NEC_0504



以上の構造により、車いす補助車は歩行補助として判断することができ、現行の道路交通法に当てはめることができる。

また、固定型ハンドバイクであっても、以上の要件を具備することにより歩行補助車として含まれる規定も設ける。

ハンドバイクの要件




そしてこれらが型式認定を受けられれば、保険の適用もされやすくなり、さらに社会的に認知されることとなる。

【参考】
原動機を用いる歩行補助車等の型式認定の手続等に関する規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H04/H04F30301000019.html



以上、歩道と車道を通行することに関して述べた。
次章より車いす補助車の仕組みができた場合に起こりうる問題点を考える。

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 2

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 2

2  >課題の紹介と問題提起<


「ハンドバイクとは」

まず、ハンドバイクとは、手でクランクを回し、自転車と同様に推進力を得て進む装置で、ハンドバイクやハンドサイクルと呼ばれる。(以下まとめて、ハンドバイク)

法律から見ると、道路交通法2条により、軽車両中の自転車である。

また、ハンドバイクなのかでも車いす前部に取り付けることによりハンドバイクの機能を実現できる装置として、アダプタ式ハンドバイクと呼ばれる装置もある。ただし、このアダプタ式ハンドバイクはそれ単体では1輪の構造であるため、前述の道路交通法にはあてはまらない。

構造から見ると、欧米ではレースなどで一般的な構造である固定型ハンドバイク(レース用、リジッドなど)と、この研究で取り上げている取付型ハンドバイク(アダプタ式など)があり、これらは走行性能・活用方法により利用目的が変わってくる。

固定型ハンドバイクの場合、一般的に走行性能を第一に考慮しているため、寝そべる格好での乗車が多く、そのため全長が長いため、リクリエーション・レースで走ることを目的にした使い方になる。

一方、取付型ハンドバイクの場合、その名の通り日常生活に使われる車いすに取り付けられ、手動車いす移動と自転車のように走ることを目的とした使い方を切り替えることができる。ただしその走行性能は固定型ハンドバイクより劣る。

特にこの取付型ハンドバイクは、とかく移動が不利とされる車いす生活者の自力移動をより広範囲にすることができる装置である。

そこで、この取付型ハンドバイクについてをまとめ、その利用の仕方を探る。



「ハンドバイクによる効果」

車いすでの移動では不満に感じ、反面ハンドバイクを使うことにより解決できる事柄をあげると、次のようになる。
1)歩道交差点部に於ける2cmの段差、荒い路面状況
2)横勾配により進む方向が定まらない
3)上り坂では疲労して休み休みになり、下り坂ではブレーキしづらい
4)手が汚れる、寒さでかじかむ、熱でやけどする
以下でその詳細を記す。


1)歩道交差点部に於ける2cmの段差、荒い路面状況

新しく整備される歩道の交差点部には必ず2cmの段差ができあがる。これは視覚障害のためのバリアフリーの対応であり、共生していく必要がある。車いす使用者側は支障に感じることもあり、現に国土交通省のウエブページにはそのことの資料も出ている。
歩道の縁端構造の検討方針(案)について : http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/design/1pdf/s1.pdf)

また、先日、国土交通省と警察庁との委員会の傍聴ができ、そこで渡された資料に2cmの段差の記述をみた。
(P5、(参考)車道と歩道の間の縁石の規定 : http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/cyclists/pdf2/3-2.pdf)

そもそもこの傍聴はハンドバイクを活用できる機会があるのかを確かめたかったのだが、この2cmの段差をバリアフリーの一環として活用しようとするのであれば、車いす使用者としてその対処を考えるのは必須。それができれば、逆に世界に胸を張って白杖の方に日本を紹介できるのであろう。

それでも、一般的な手動車いすで通行しようとしたとき、
場所を確かめ、高さを確かめ、角度を確認し、タイミングを計り、力加減を考え、人の流れを見極めつつ、歩道へと乗り越える。
これだけの動作を交差点ごとに行わなくてはならず、さしずめハードルレースのように感じることもある。
その証に、電動車いすの車輪は4輪とも大きく、高齢者用の手動車いすも最近はクッションの利いた太いキャスターの構造である。また、駅前や主要な施設の前では一部分だけ段差を無くしたりと、特別に何かしらこの歩道の段差を無くす工夫がされている場合もあり、最近のベビーカーもバギー型でタイヤが大きいのもその現れと推測する。

そこで取付型ハンドバイクを手動車いすで移動すると、この段差を気にすることも無く、路面を常に注視することも無く前に進むことができ、精神的にも視野も解放されることとなる。


2)横勾配により進む方向が定まらない

一般的な車いすは前輪を水平に360度回転するキャスターを備えていて、これにより室内においても細かな移動を可能になる。しかし、屋外においては地面が水平であることが少なく、道路においては水はけのためにさまざまな勾配が付けられている。なお縦の場合は坂のこととなる。

横勾配の場合は重力により勾配の下へ向かって車いすが向かってしまい、それを補正するために反対に向かって車輪を漕がなくてはならなくなり、直線移動するには無駄な動きが必要となる。

そこで取付型ハンドバイクで移動すると、グリップを手で保持していれば横勾配を気にすること無く前進することができる。

また、多くの取付型ハンドバイクにおいては向きが大きく変わらないようにゴムなどで保持された構造(ステアリングダンパー)のものが多く、このことにより、1)と同様に移動することの制約が少なくなる。


3)上り坂では疲労して休み休みになり、下り坂ではブレーキしづらい

手動車いすを操縦する場合、ハンドリング(リム)を直接手で回転させることにより推進力を得られるが、タイヤの移動距離と手の移動距離がそのまま1:1に作用するため、力の入れ具合以外に可変しない。上り坂で負担が多く大変なことはこの可変度合いと力のバランスが取れなくなり、体力が少ない場合は疲労のために移動の途中で休まざるを得なくなる。

ハンドバイクがある場合は変速機(ギヤ)があるため、必要な力加減で漕ぎ続けることができる。たとえ平均した速度が遅くても進み続けることができる。手動車いすで移動するより長い距離、上り坂がある道のりも長い時間進み続けることができ、結果、移動距離も伸びることになる。

また、下り坂においても機械式のブレーキがあるので手の負担を小さく効率的に、確実に速度を抑制、停止することができる。また、ブレーキ機構も一般的なレバーによる動作以外にもクランクを逆回転することにより動作させるコースターブレーキという構造がある。この構造の場合、先のレバー構造を利用することが困難な指先の機能が低下している場合でも腕全体で操作することができ、より多くの障がいの状態に対応することができる。


4)手が汚れる、寒さでかじかむ、熱でやけどする

上記3)の理由と同様で、クランク及びグリップにより操作することにより、間接的なタイヤの操作となるので手の負担は小さく、また手袋を使用しても確実に操作を行うことができる。手動車いすで直接手を使う場合に手袋をしている場合、直接手で握って操作するよりもグリップ力が低いために危険な場合があり、屋外で使用するハンドバイクは天候による影響を多く受け、操作不能による危険を避けることができる。

もっと一般的には、泥などに触れることがなくなり、手を汚すことがなくなる。


以上のように取付型ハンドバイクにより得る恩恵は多く、必要に応じて手動車いすの動作にすることもできるため、多様な行動をすることが可能になる。


以上、手動車いすが受ける影響を取付型ハンドバイクが解決できることを見てきた。
しかし一方、前章で取り上げ通りに取付型ハンドバイクは、自転車としての使い方と、車いすとして歩行者の使い方との2つの側面を持つこととなる。

そのままの運用では、この二つの側面が明確でない。
○運行する場合の法律の問題
○事故などの場合の法律の問題
が残ったままとなり、たとえ便利な装置であるとしてもその運用に混乱を生じてしまうこととなる。


そこで、次章では現行の法律からそれぞれの福祉車両が持つ特性を整理し、取付型ハンドバイクがどのように活用できるかを考える。


3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 1

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 1

1 >ハンドバイクという乗り物<

「健常者から障がい者へ」

車いす生活になり20年あまり。そしてこの10年弱の間、アダプタで組み付けて使用するタイプのハンドバイク(以下、取付型ハンドバイク)を使ってきた。

さらに最近では自転車についてを学び、走行空間や通行方法についてあらためて学んできた。そのことにより「ハンドバイクは自転車である」ということを主張するようになり、他者にたいしても広く認知させるために車道通行を実践するようになった。

さらに普通自転車と同様に輪行(電車移動の方法)の方法も確立でき、速度こそ健常者には追いつかないものの自力で車いすよりも速く移動できることができ、自転車を利用することの充実感を得られることがどれだけ有意義であるかということを実証してきた。

そうして街を見るにつれ、余りに速く移動する事に尽力したために、目的地に着くことだけを考えて景色を楽しめていないことが多く、あわせて、自分と同様な車いすで、街を散策しているような人を見ることも少ないことを実感した。

なぜ少ないと思うのか。
自分自身、車いすだけで歩道を使い街中を移動すること自体は好きである反面、不満を感じることが多々ある。

一番は絶えず路面状況を見ながらでないと前に進めないこと。
他にも、急な上り坂は休み休みでないと進まないことであったり、横勾配を気にしながら進むのがおっくうになりがちである。そのため”仕方なく”車いすを進めているといった感情になりがちである。



「移動手段」

街を移動する手段を整理すると、

健常者に於ける、
「徒歩・自転車・公共交通機関・自家用車」という形態がある一方、
車いす使用者の場合は、
「手動車いす・電動車いす・公共交通機関・自家用車」となる。

よって、車いすでの移動がどれだけできるかが、どれだけ自律してその街を散策できる度合いとなる。


もちろん、バリアフリーの取り組みとしての整備により移動はしやすくなったと感じるが、設計当初からのユニバーサルデザインとは離れていて、歩道橋の階段に行き詰まったり、歩道にスロープが無いまま終わってしまったりと、ところにより場当たり的な整備と感じる場合もあり、導線が確保されていない状況がある。街並がせっかく整備されていても車いすだけでは広範囲でそこまで移動する機会が少なく、そのためにそもそも不満に感じるという問題意識を持つ機会も少なくなることもある。

同じ車輪を転がす移動であっても、室内を細かく自由に動く手動車いすの構造と推進力を得るために設計されたハンドバイクの構造とでは進み方が違うため、移動できる距離の単位も違ってくる。

そこで、歩道通行を前提に考えた場合、車いすだけで移動していたよりもハンドバイクを使うことにより、細かな段差を気にすることがなくなり、変速機により平地での加速や上り坂での低負担での移動がしやすくなることにより、移動できる距離が増えてくれば、車輪で移動できる導線を確かめる機会も増えてくるだろう。

一方、自転車として走行するとなると普通自転車に求められる規律を同様に遵守する必要があり、車道走行が原則となる。もちろん、車道は自動車が走る道であるので途中で行き詰まることはないという特徴があり、車いすから見れば、すでにユニバーサルなデザインをされた環境になり、導線として何ら問題は無いはずである。

この2点に注目すると、歩行者としての取付型ハンドバイクの使い方と、自転車としての取付型ハンドバイクの使い方をすることが車いす使用者の快適な生活をより向上させる仕組みとなることは容易に想像できる。

次章より、有効な利用を促進する為にはどうするかを検証する。

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 0

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 0

<はじめに>

この研究では法律上規定が確立されていなく、まだ数の少ないハンドバイクをどのように活用を進めることができるかをまとめたものである。

ハンドバイクの中でも、取付型のハンドバイクを「車いす補助車」と区分することを提唱し、自転車と同じ構造を持つハンドバイクを、自転車としてだけではなく、動力補助の見方から歩行補助車としての使い方をまとめ、車いす使用者が快適に生活できる方法を示すのがこの研究の目的である。

次章より以下の通り展開していく

<目次>


1  >ハンドバイクという乗り物<

    「健常者から障がい者へ」
    「移動手段」

2  >課題の紹介と問題提起<

    「ハンドバイクとは」
    「ハンドバイクによる効果」

3  >自転車として、歩行者として<

    「自転車としての取付型ハンドバイク」
    「歩行者としての取付型ハンドバイク」

4  >取付型ハンドバイクの今後の課題<

    「歩行補助車のインフラ」
    「取付型ハンドバイクの活用」

5  >おわりに<