3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 13輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 3

2012年01月22日

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 2

3輪車の科学・車いす補助車としての取付型ハンドバイク 2

2  >課題の紹介と問題提起<


「ハンドバイクとは」

まず、ハンドバイクとは、手でクランクを回し、自転車と同様に推進力を得て進む装置で、ハンドバイクやハンドサイクルと呼ばれる。(以下まとめて、ハンドバイク)

法律から見ると、道路交通法2条により、軽車両中の自転車である。

また、ハンドバイクなのかでも車いす前部に取り付けることによりハンドバイクの機能を実現できる装置として、アダプタ式ハンドバイクと呼ばれる装置もある。ただし、このアダプタ式ハンドバイクはそれ単体では1輪の構造であるため、前述の道路交通法にはあてはまらない。

構造から見ると、欧米ではレースなどで一般的な構造である固定型ハンドバイク(レース用、リジッドなど)と、この研究で取り上げている取付型ハンドバイク(アダプタ式など)があり、これらは走行性能・活用方法により利用目的が変わってくる。

固定型ハンドバイクの場合、一般的に走行性能を第一に考慮しているため、寝そべる格好での乗車が多く、そのため全長が長いため、リクリエーション・レースで走ることを目的にした使い方になる。

一方、取付型ハンドバイクの場合、その名の通り日常生活に使われる車いすに取り付けられ、手動車いす移動と自転車のように走ることを目的とした使い方を切り替えることができる。ただしその走行性能は固定型ハンドバイクより劣る。

特にこの取付型ハンドバイクは、とかく移動が不利とされる車いす生活者の自力移動をより広範囲にすることができる装置である。

そこで、この取付型ハンドバイクについてをまとめ、その利用の仕方を探る。



「ハンドバイクによる効果」

車いすでの移動では不満に感じ、反面ハンドバイクを使うことにより解決できる事柄をあげると、次のようになる。
1)歩道交差点部に於ける2cmの段差、荒い路面状況
2)横勾配により進む方向が定まらない
3)上り坂では疲労して休み休みになり、下り坂ではブレーキしづらい
4)手が汚れる、寒さでかじかむ、熱でやけどする
以下でその詳細を記す。


1)歩道交差点部に於ける2cmの段差、荒い路面状況

新しく整備される歩道の交差点部には必ず2cmの段差ができあがる。これは視覚障害のためのバリアフリーの対応であり、共生していく必要がある。車いす使用者側は支障に感じることもあり、現に国土交通省のウエブページにはそのことの資料も出ている。
歩道の縁端構造の検討方針(案)について : http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/design/1pdf/s1.pdf)

また、先日、国土交通省と警察庁との委員会の傍聴ができ、そこで渡された資料に2cmの段差の記述をみた。
(P5、(参考)車道と歩道の間の縁石の規定 : http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/cyclists/pdf2/3-2.pdf)

そもそもこの傍聴はハンドバイクを活用できる機会があるのかを確かめたかったのだが、この2cmの段差をバリアフリーの一環として活用しようとするのであれば、車いす使用者としてその対処を考えるのは必須。それができれば、逆に世界に胸を張って白杖の方に日本を紹介できるのであろう。

それでも、一般的な手動車いすで通行しようとしたとき、
場所を確かめ、高さを確かめ、角度を確認し、タイミングを計り、力加減を考え、人の流れを見極めつつ、歩道へと乗り越える。
これだけの動作を交差点ごとに行わなくてはならず、さしずめハードルレースのように感じることもある。
その証に、電動車いすの車輪は4輪とも大きく、高齢者用の手動車いすも最近はクッションの利いた太いキャスターの構造である。また、駅前や主要な施設の前では一部分だけ段差を無くしたりと、特別に何かしらこの歩道の段差を無くす工夫がされている場合もあり、最近のベビーカーもバギー型でタイヤが大きいのもその現れと推測する。

そこで取付型ハンドバイクを手動車いすで移動すると、この段差を気にすることも無く、路面を常に注視することも無く前に進むことができ、精神的にも視野も解放されることとなる。


2)横勾配により進む方向が定まらない

一般的な車いすは前輪を水平に360度回転するキャスターを備えていて、これにより室内においても細かな移動を可能になる。しかし、屋外においては地面が水平であることが少なく、道路においては水はけのためにさまざまな勾配が付けられている。なお縦の場合は坂のこととなる。

横勾配の場合は重力により勾配の下へ向かって車いすが向かってしまい、それを補正するために反対に向かって車輪を漕がなくてはならなくなり、直線移動するには無駄な動きが必要となる。

そこで取付型ハンドバイクで移動すると、グリップを手で保持していれば横勾配を気にすること無く前進することができる。

また、多くの取付型ハンドバイクにおいては向きが大きく変わらないようにゴムなどで保持された構造(ステアリングダンパー)のものが多く、このことにより、1)と同様に移動することの制約が少なくなる。


3)上り坂では疲労して休み休みになり、下り坂ではブレーキしづらい

手動車いすを操縦する場合、ハンドリング(リム)を直接手で回転させることにより推進力を得られるが、タイヤの移動距離と手の移動距離がそのまま1:1に作用するため、力の入れ具合以外に可変しない。上り坂で負担が多く大変なことはこの可変度合いと力のバランスが取れなくなり、体力が少ない場合は疲労のために移動の途中で休まざるを得なくなる。

ハンドバイクがある場合は変速機(ギヤ)があるため、必要な力加減で漕ぎ続けることができる。たとえ平均した速度が遅くても進み続けることができる。手動車いすで移動するより長い距離、上り坂がある道のりも長い時間進み続けることができ、結果、移動距離も伸びることになる。

また、下り坂においても機械式のブレーキがあるので手の負担を小さく効率的に、確実に速度を抑制、停止することができる。また、ブレーキ機構も一般的なレバーによる動作以外にもクランクを逆回転することにより動作させるコースターブレーキという構造がある。この構造の場合、先のレバー構造を利用することが困難な指先の機能が低下している場合でも腕全体で操作することができ、より多くの障がいの状態に対応することができる。


4)手が汚れる、寒さでかじかむ、熱でやけどする

上記3)の理由と同様で、クランク及びグリップにより操作することにより、間接的なタイヤの操作となるので手の負担は小さく、また手袋を使用しても確実に操作を行うことができる。手動車いすで直接手を使う場合に手袋をしている場合、直接手で握って操作するよりもグリップ力が低いために危険な場合があり、屋外で使用するハンドバイクは天候による影響を多く受け、操作不能による危険を避けることができる。

もっと一般的には、泥などに触れることがなくなり、手を汚すことがなくなる。


以上のように取付型ハンドバイクにより得る恩恵は多く、必要に応じて手動車いすの動作にすることもできるため、多様な行動をすることが可能になる。


以上、手動車いすが受ける影響を取付型ハンドバイクが解決できることを見てきた。
しかし一方、前章で取り上げ通りに取付型ハンドバイクは、自転車としての使い方と、車いすとして歩行者の使い方との2つの側面を持つこととなる。

そのままの運用では、この二つの側面が明確でない。
○運行する場合の法律の問題
○事故などの場合の法律の問題
が残ったままとなり、たとえ便利な装置であるとしてもその運用に混乱を生じてしまうこととなる。


そこで、次章では現行の法律からそれぞれの福祉車両が持つ特性を整理し、取付型ハンドバイクがどのように活用できるかを考える。


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